チンチラの診療案内

当院で最も治療の機会が多いのは歯の『不正咬合』です。また、飼い始め(幼少時)には寄生虫疾患(ジアルジア)や皮膚糸状菌症(真菌症)も多く見られます。体重の低下は病気のサインになりますが、非常に痩せているにも関わらず、外見上はその被毛の厚さによってその異常に気づかないことが多いので気をつけましょう。背骨や骨盤がゴツゴツ触れるようなら、さしたる症状がなくても受診をお勧めします。

よくあるチンチラの病気

熱中症

チンチラは冷涼で乾燥した場所に住んでいた動物であり、暑さに非常に弱い動物です。正常範囲を大きく超えて体温が上がった場合、熱中症を起こして、最悪の場合、死に至るおそれがあります。単純に室温のみならず、直射日光の有無、湿度の上昇、肥満、興奮、長時間の保定などによって体温が上がりやすくなります。人や犬猫の場合は水分・塩分補給の不足なども要因になりますが、チンチラの場合は十分にそれらを補給していても、単純に暑熱環境による体温の上昇だけで発症すると思われます。

対策

現在ペットのチンチラの祖先とされる「オナガチンチラ」は南米チリの国立公園(Las Chinchillas National Reserve)に生息しています(標高500〜1000m程度と思われます)。近隣都市の「イヤペル」(標高差200〜700m)の夏の最高気温は26℃程度。気温には標高差100mで0.6℃程度の差が出るとされているので、彼らの生息域である国立公園は夏の最高気温が21〜25℃程度と推測されます。日本での飼育環境でも環境温度がこれを超えないように抑える必要があります。

  • 特に夏場はエアコンなどを使用して除湿・冷房する
  • 直射日光を避ける(夏場の西日を遮って;できれば、窓の外側ですだれなど使用する)
  • 肥満にならないよう日頃から気をつける(おやつのあげすぎ、ペレットのあげすぎ)

ちなみにチリの国立公園の冬の最低気温はおそらく−1〜3℃程度と推測されます。意外と暖かいとおもいませんか?「チンチラは標高3〜4千メートルの極寒地に住んでいる」とのイメージがありますが、それはペットチンチラの祖先である「オナガチンチラ」ではなく、他の種類のチンチラ(「チビオチンチラ」、「コスチナチンチラ」)の話だと考えられます。冬場の気温が氷点下に達する場合は寒さで体調を崩すことがあり得るので気をつけましょう。

来院時の注意点

チンチラを連れて来院された場合、日差しの入る待合室、または、待機中の車内で体温が上がり熱中症を起こす可能性があります。夏場の午後の気温が高い時間帯にご来院の際は特にお気をつけください。
当院の待合室の窓は南東に向いており、特に気温の上昇する午後の日差しは、待合室内に差し込まない構造にはなっております。それでも空調などにご心配がある場合は、受付までご要望いただければ調節いたします(冷房のきいた部屋にご案内、もしくは診察までお預かり、なども適宜対応しています)。

皮膚糸状菌症

皮膚の表層の角質層で増殖する真菌(カビ)により引き起こされる皮膚感染症(皮膚炎)です。特に幼少期に多い皮膚の感染症です。俗に「水虫」と言われますが、皮膚糸状菌に分類される真菌(カビ)が原因で起こります。

脱毛班や皮膚の紅斑(赤み)、びらん(表皮の剥奪)や痂皮(かさぶた)の形成が特徴であり、耳や足の先など皮膚のどこにでも起こり、似たような病変が複数箇所に起こることがあります。

幼少期の皮膚炎を認めた際、病変部の痂皮や鱗屑(「りんせつ」と読みます;「ふけ」のこと)を顕微鏡で観察し、皮膚糸状菌の胞子(植物で言う「種」のようなもの)を検出することで診断します。

治療

皮膚病変の鱗屑、痂皮の中には真菌の胞子が残存していますから、サリチル酸含有の外耳道洗浄剤などを使って、受診時にそれらを丁寧に除去した上で外用薬(ケトコナゾール軟膏)を塗布し、自宅では内服薬(イトラコナゾール 5mg/kg SID 10〜20日)を飲ませていただくことが多いと思います。自宅で外用まで連日実施するとベタベタになってしまうことが多く、外用処置は通院ベースで、3〜4日毎に1〜2週間継続する程度です。

予後

基本的には一度治癒すると再発は少ないようです。おそらく真菌に対する免疫ができるからだ思われます。ただし再発兆候がないか1ヶ月程度は注意深い観察が必要です。

脱毛した皮膚は、数週間で発毛が見られ、永久に脱毛したままのことはあまりないようです。いずれにせよ、一度治ったと思っても、状況により早めの検診の上、皮膚の様子を確認すると良いでしょう。

下痢

通常はコロコロとして硬く、一定の大きさの便を排泄しますが、寄生虫の感染により下痢をすることがあります。幼少期に環境の大きな変化が生じた際(飼い始め;ペットショップに入荷したばかりの時)に始まることが多く、寄生虫の感染が原因になっていることがあります。普段と異なり、指で簡単に潰れるほどの柔らかいウンチや下痢を起こしている、さらにそれに加えて、体重の低下が見られる一歳未満のチンチラは注意が必要です。

原因

チンチラの便に排出された条虫の卵|青森県八戸市やすだ動物病院

  • ジアルジア

原虫に分類される、小さな寄生虫の一種です。消化管で増殖して吸収障害を起こし、患者は低栄養をきたして痩せていきます。重度の腸炎のために「しぶり」がひどくなると脱腸を起こすことがあり、その場合は予後要注意〜不良です。

  • 条虫(写真)

消化管に寄生する虫です。写真は実際に感染していた症例の虫卵です(浮遊法による検便)。ジアルジアとは治療薬が異なるため、見落とさないようルーチンで浮遊法による検便が有効だと思われます。

症状
  • 栄養不良、体重低下:腸炎による栄養吸収障害
  • 脱水;下痢による塩分と水分の喪失
  • 低血糖;低栄養によるエネルギーの不足

などを起こします。

不正咬合

ウサギやデグーと同じように、チンチラには前歯と奥歯があり、一生を通してずっと伸び続けます。
正常な噛み合わせを維持するためには、チモシー牧草など豊富な線維質を含む食事をしっかりと摂らせることが肝要です。必要カロリーを得るためにできる限り多くの咀嚼回数を維持する必要があります。とうもろこしや潰した麦などの穀類が含まれるミックスフード系は、嗜好性が高い反面咀嚼回数が減じるため、歯の磨耗が遅くなり、伸びやすくなります。また、穀類に含まれるリンがカルシウムに比較して多すぎるため、歯を支える顎骨の強度が下がって歯根の位置がずれてしまうことも重要視されています。カルシウムとリンの摂取量が適正であることが必要です

ポイント:偏食をするチンチラは要注意。おやつはあまり与えず、ペレット(体重の1.5〜2%)と牧草(チモシーをメインにする。

もしも不正咬合が起こったら

以下のような症状があれば、不正咬合の可能性がありますので、まずは早めにご相談をお勧めします。体重が極端に減ってから受診した場合、治療に際してのリスク(麻酔処置後の脱腸など)が高くなります。

  • ・涎で口の周りが汚れている
  • ・口の周りを掻いている
  • ・歯軋りが多い
  • ・硬い牧草を食べない(拾っても捨てる)
  • ・体重が減っている
  • ・前歯(切歯)が異様に伸びている
  • よだれを垂らして歯ぎしりをしたり、食欲が落ちてきている場合は早めに動物病院にご相談ください。

 

レントゲン検査について

レントゲン撮影を拒む場合は、全身麻酔が必要になります。

全身麻酔をかける場合は、レントゲン撮影はもちろん、直接奥歯を観察することができます。
また、必要があればそのまま歯を削って整えたりします。

治療

基本的には全身麻酔下での歯科処置が必要になります。麻酔にはイソフルレンというガスを使い、専用の器具で口を開口させながら、電動ドリルを使って長すぎる歯を削ります

 

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